恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



────10分後。

一通り話し終った花澄は、死刑執行を待つ囚人のような気分で賢吾の言葉を待っていた。


……が。


「あ、そうなの?」


賢吾の口から洩れた軽い声に、花澄は思わず唖然としてしまった。

ぽかんとする花澄に、賢吾はいつもの口調で続ける。


「そうなんだ。よかった……じゃなくって。君達がそんな関係だったなんて、僕は全く気が付かなかったよ。ははは」

「………………」

「でもそうなると、これで僕が君と結婚したら僕は一生雪也に恨まれるだろうな。下手したら夜道で後ろから刺されるかもしれない」


賢吾の言葉に花澄は凍りついた。

『そんなことないですよ』と言い切れないのが微妙なところだ。

ぴしりと固まった花澄に、賢吾はうーんと腕を組んで考え込む。

< 260 / 334 >

この作品をシェア

pagetop