恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
────10分後。
一通り話し終った花澄は、死刑執行を待つ囚人のような気分で賢吾の言葉を待っていた。
……が。
「あ、そうなの?」
賢吾の口から洩れた軽い声に、花澄は思わず唖然としてしまった。
ぽかんとする花澄に、賢吾はいつもの口調で続ける。
「そうなんだ。よかった……じゃなくって。君達がそんな関係だったなんて、僕は全く気が付かなかったよ。ははは」
「………………」
「でもそうなると、これで僕が君と結婚したら僕は一生雪也に恨まれるだろうな。下手したら夜道で後ろから刺されるかもしれない」
賢吾の言葉に花澄は凍りついた。
『そんなことないですよ』と言い切れないのが微妙なところだ。
ぴしりと固まった花澄に、賢吾はうーんと腕を組んで考え込む。