恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~




雪也は外した指輪をカタンと窓のさんに置き、スーツのポケットから何かを取り出した。

後ろから花澄の左手を掴み、薬指にすっとそれを通す。

それはプラチナの上にピンクダイヤとエメラルドが並んだ、春らしい雰囲気の上品で可愛らしい指輪だった。


「……やはり君にはこっちの方が良く似合う」

「雪くん、これは……?」

「ホワイトデーのお返し。……都内に戻るまではその指から絶対に外さないこと。外したらそのまま君を俺のマンションに連れて帰るから。そのつもりで」

「……っ!」


花澄は雪也の言葉に思わず息を飲んだ。

……左手の薬指に感じる、ひんやりとした金属の感触。

指輪に込められた雪也の想いに、花澄は頬を染めて俯いた……。



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