フラットとシャープ
「えっと・・・。あ、ここだここだ!」

目的の家を見つけて、由美子はほっとした。確かに、さっきの男性が言っていたように二駅先にこの家はあった。

二階立ての小さなアパートはちょっと薄汚れていて、由美子の個人的には絶対選ばない不動産だった。

「わざわざ東京から来たんだから、もうちょっといいところに住まわしてくれてもよかったのに~・・・。」

文句を言いながら、スーツケースを持ち上げる。

由美子の部屋は二階だ。

「ういしょっと・・・。」

由美子は一段ずつ慎重に階段を上って行った。

「208号室か・・・。」

先に社長に手渡されていた鍵を、ドアノブに入れる。

鍵が開いて、ゆっくりドアを開いた。
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