ただ、逢いたい
分かっていたこととは言え、藤井くんは落胆している。
心のどこかで、嘘であって欲しいという想いはあったはずだ。
その気持ちは、凄く分かる。
だけど今更、嘘を言っても仕方がない。
だから、落胆しているのにも構わず、話しを続けた。
「藤井くんに告白された時、自分の気持ちがはっきりしていなかった。
何年も逢っていなかったから。
前向きに考えようとも思った。
でも、彼に逢ったとたん、自分がまだ縛られていることに気付いた」
あたしは、包み隠さず話した。