ただ、逢いたい



それに、あからさまにあたしを避けている。


アドレスを変えたことだってそう。


だから、今のあたしたちはただの知り合いなんだ。




「そう?
それならそれでいいんだけど、豊島さんって結婚したの?」




沙希さんは、あまり突っ込むことはしなかった。


けど、まさか沙希さんの口からそれを言われるとは思わなかった。


少しだけ、辛くなる。


誰もが、そう思っているんだと知らされたから。




「分かりません」




なんとか、平然を装って答える。


顔に出したら、余計な心配をかけてしまう。


沙希さんは、何も知らないんだから。




「そっか。
朝井さんでも分からないか」




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