海淵のバカンス


潮風しか聞こえない海岸に、細い影がポツリとあった。
大きな丸い月に照らされる物体、その物体の影は、延々と砂浜に延びる。
その物体、海風兎々(うみかぜとと)。
容姿はスラリとした体格と身長に、短く切られた黒髪、眼鏡にカラーコンタクトだろうか、細いフレームから覗く深い海の色をした瞳、そして、カッチリした顔のソレとは不釣り合いな無頓着とも言える酷くラフな服装。
それが彼女に置ける海風兎々と言う一個人の個性なのだ。
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