晴れのち雨

「ま。恐いっても可愛い嫁さんに可愛い子ども、ちょっとムカつくくらい幸せそうだった。」


「はい。写真見ましたけれど、とても幸せそうでした。」


「だけど、長く続かなかったんだ...」


龍馬さんの煙草の灰が落ちる。


「冬の寒い日の事だ。
颯も大きくなってもうすぐ3歳になる頃だった。
その日、波美が颯を自転車に乗せて近所のスーパーに行ったんだ。
行く時は晴れてたんだが、帰る時には雨が降ってた。」


雨、と聞いてゴクリと唾を飲みこむ。



「自転車は天気の良い日に取りに行けばいいからって、アイツは携帯に電話して波美達を車で迎えに行こうとしたんだ。」

はい。と小さく相槌を打った。

「だけど、波美は大丈夫って断ったんだ」


「で...波美達は帰ってこなかった。
雨と寒さでマンホールが凍ってて、それに自転車が滑って転んで、そこに運悪く自動車が来たみてぇで...」



これ以上聞きたくなかった。
耳を塞ぎたくなる。

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