晴れのち雨


授業が終わり七瀬ちゃんと塾を出ると
保坂先生がいた。


「先生どうしたんですか?」

七瀬ちゃんが訊く。

「息抜きに外の空気吸っててん。」

そう答えた彼から
いつもより煙草の香りがした。

「嘘つき。」

と私が呟くと

二人して「え??」と言われたので

「いや、なんでもない」

と手をヒラヒラさせた。



七瀬ちゃんが友達に呼ばれて
「ちょっと待ってて。」
と行ってしまった。



先生と二人きりになった私は

「先生、本当は外の空気じゃなくて煙草でしょ?」

と聞いて見た。

目を少し見開いて

「バレたかぁ。七瀬ちゃんの前で言わんとってくれてありがとうな。」

彼は二カッと見慣れた笑顔を見せる。


「いえ別に。 ちょっとしたお礼です。」

「お礼??」と彼は首を傾げる

「さっき受付でこの髪型褒めてくれたでしょ?お世辞でも嬉しかったから...」

恥ずかしくてだんだん声が小さくなる。

「え??
そんなにその髪型気にしてたん?!
めっちゃ似合ってんのに!?
可愛い言うたんお世辞ちゃうで!」

驚く彼に

「ありがとうございます。」

自然と笑顔がこぼれた。


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