晴れのち雨

confession



「先生、好きです。」



言葉の行き先を見つめる。



...ひどくなった雨音だけが聞こえた。



先に沈黙を破ったのは先生だった。



「ありがとう。」



それ以上は何も言わない。



先生を困らせてしまった。

そうなることは分かってたのに
先生を救う言葉が見つからない。



「...うん。ホンマにありがとう...」


そう言って雨を見つめる先生。



「あっ...あの..
私、分かってますから。
先生が私の事を何とも...大切な生徒にしか思ってない事、分かってます。」


何とも思ってない、なんて言い方は
先生を攻めている気がしてやめた。


今、目の前で困っている人が
生徒として、私を大切にしてくれるのは伝わったから。




「気にせず振ってください。」



無理やり笑ってみせる。


本人に言うのは辛かったが
先生をこれ以上困らせたくなかった。
< 62 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop