桜が咲いたら
受け取ってしまったら、

もう終わってしまうのかな。






今日来てくれたのは、CDを返すためだけだもんね。






返し終わってしまえば、やっぱり先輩はすぐに帰ってしまうのだろう。




文化祭の時のように、

一度もあたしを振り返らずに。












「あ、あの」






「ん?」






「桜ヶ丘受ける時、

どんな感じでしたか?」





唇からぽろっとこぼれてしまった先輩を引き止めるための言葉は、

あまりにありきたりで陳腐なものだった。






大きな瞳を丸くして、あたしの顔をじっと見つめている先輩。






その形の良い唇からは同じリズムで白い息が漏れていた。


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