たべちゃいたいほど、恋してる。②




「おっと。まだ仕事中だったんだ!じゃ、また学校でな!」




そんな優衣の様子に気付いていない新藤は、慌てたように片手を上げて店へと戻っていった。

少し遠くに見えるお店では相変わらず客が美味しそうにケーキを食べている。




「新藤くん、ケーキの感想聞きたかったのかな?」


「…さぁ?どうだったのかしらね」




笑顔のまま去っていった新藤の背中を見送りながら首を傾げる二人。

ただ夏希の顔は何かを考えるように少しだけ険しさを増していたのだが。

もちろん優衣がそれに気付くことはない。


それにしてもまるで大きな嵐が去っていったようである。


そんな初めて会った新藤の姿に優衣は思った。


とても龍之介に似ている人だったと。




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