Last flower【執筆中】
「るーるらーらー…るりるらー…」

微かな声で歌いながらチャルは部屋に一人きり、

あの日の茶色いバッグの横に座って、束になった手紙を見ていた。

投げ捨ててしまった指輪をはめていた指が、

スカスカと心もとなく感じる。

名前。筆跡。『必ず迎えにいくから』という言葉で、

いつも結ばれていた手紙。

バザーの客に紛れ込んできた彼と、本当はあの日

一緒にこの施設を脱走するはずだった。

「ららら…るるら…りるらりー…」

信じていた。ずっと待っていた。けれども彼は現れなかった。

あどけなく、弱く、バカな自分がチャルは許せなかった。

けれども彼のことを悪く思う気持ちは少しもなかった。

愛していたから。

しかし心のある部分から、チャルはどんどん蝕まれていった。

本人にも気づけないほどの静かさで。

ゆっくりと。確実に。チャルの心は崩れていった。


彼女の限界は、もうすぐそこまで忍び寄っていた。
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