恋の訪れ

それから数日後。


「莉音、大丈夫なの?」


カフェで待ち合わせをしていた香澄先輩の目の前であたしは笑みを漏らした。


「うん、大丈夫」

「結構心配したんだからね!」

「ごめんなさい。でも、イチゴケーキ食べれるんで元気だよ」

「元気じゃなくても食べるでしょ?」

「そうでもないみたいですけど…」


軽く息を吐いたあたしはフォークでイチゴを突き刺し、口に含んだ。


「で、なんなの。聞きたいことって」

「香澄先輩って、昴先輩の事どこまで知ってます?」

「はぁ!?なにそれ、」

「いや…知ってる事教えてほしいなって」

「なに、アンタ。やっぱ昴が好きなの?恋しちゃったの?」

「ち、違う!あたしが好きなのは――…」

「はいはい、ヒロ君ね」


あたしの言葉を遮った香澄先輩は大きなため息をついた。


「凄いですね、香澄先輩…」

「あれだけ言われちゃ覚えるけどね」

「はぁ…」

「辞めた方がいいんじゃない?真理子も言ってたけど…」

「まぁ…今ではもう分かんないですけど」

「ふーん…で、昴の何を聞きたいの?」


アイスコーヒーを口に含んだ先輩はあたしの顔をジッと見つめた。

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