綿菓子と唐辛子


そうか、なるほど。

姫芽は、この町を出るのか。


そうか、そうだよな。こんな町にいたら、一生思い出してしまうもんな。

…嫌な噂も、ずっとつきまとうしな。




『…コウタロウ、わたし…。わたしが戻った後、会いにきてくれたのに」

「…」

『会いに来てくれたのに、あんなことしかできなくて、ごめんね…』

「…ううん………」


いいんだよ、姫芽。
それよりも、謝らなければならないのは、俺の方だ。

あの時、一生にいてあげられなくてごめん。

連れ出してしまって、ごめん。




…でも、そんなこと言うのも、もう、やめた方がいいのかもしれないね。



「…姫芽」

『…うん?』

「…あのさ、俺、これからもお前のこと、ここからずっと見守っておくよ」

『…!』

「ずっと、ここで見守る。東京行って、辛いことあったら、俺に言えよ。それから、名前に気づいて、向こうの奴らが、お前の過去に触れて来たりしたら、『元カレにやられた』って言っとけ!なんで男が嫌いかって言われてもだぞ!」

『…コウタロ………』

「いーんだよ。お前が、当時を思い出して辛くなるなら、俺に会って辛くなるなら、全部俺のせいだと思えばいい!俺のことを悪く言えばいい!俺のことだったら、別に死にそうなくらい辛くはならねーだろ!」

『…………っ!』



…いいんだ。これで。


俺は、お前をここから守っていければ、それでいい。






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