綿菓子と唐辛子
綿菓子と唐辛子
♢♦︎♢
勇哉たちと別れ、アパートに戻る頃には、ヒメはいつもの調子を取り戻していた。
「ナツ、この荷物はここでいいのか?」
この言葉遣いにもすっかり慣れてしまっているのか、俺と二人の時もたまに出てくるようで。
女の子らしいヒメを知ってしまっている俺としては、少し不自然に感じる時もあるけれど、そういうヒメも可愛いからいいか、なんて思えてくる。
…それに、俺の前だけで崩れるの、可愛くてたまらないしね。
「あぁ、いいよ、ありがとう」
ヒメの荷物はヒメの部屋に運んで、俺の荷物は俺の部屋に戻して。
すっかり元通りになった部屋を見て、二人でフゥと息を吐いた。
「…さて、もうお風呂に入って寝なきゃな。ヒメは明日から学校来んの?」
「ん、まぁ、一応な」
「そっか」
…じゃあ、早速朝から迎えに行こうっと。そんで、明日からはちゃんとした恋人同士として過ごしてやる。
今までも、恋人として過ごしてきたけどね。
なんせ、ヒメとチューもしたわけだし!!!
(そこ重要!!!)
「よし、んじゃヒメも部屋に戻りな。今日はゆっくり休めよ」
「…ん……」
「?」
もごもごと、口を尖らせて下を向いているヒメ。
え、なになになに。
なんだこの反応は。
「ヒメ?どうした、戻らねーの?」
「…」
んんん〜〜?なんだこれは。
どうしてしまったんだ?