プラチナブルーの夏
18.
「あれっ?ミズキちゃん!?」
 
首からバスタオルを引っかけて部屋に戻って来たユウスケさんが、

あたしの顔を見て驚いている。
「こんばんは…お邪魔してます」

(ユウスケさん、あたしが来る事知らなかっ
たのか…)
 
ふと視線をリツコに向けると、ジュージューと賑やかな音を立てながら、フライパンと格闘している所だった。
 
……いい匂い。思わずお腹がキュイッと鳴った。
 
ユウスケさんはTシャツを着ながらリツコの元に歩いていった。 
 
ひっきりなしに続いているフライパンからの派手な音にかき消されて、あたしの耳には二人の会話が届かない。
 
とりあえず、洗面所で手と顔だけを洗わせてもらった。

「よっしゃ~出来たで~!ミズキ、悪いけどテーブル広げてこのフキンで拭いてや。

ユウスケはお皿、どんどん運んでな~」
 
なんだか、本当のお母さんみたいなリツコの呼びかけ。

『ここが自分の本当の家ならいいのになぁ…』なんて。
 
そんな事をぼんやり呑気に考えながら、折りたたみテーブルの上をフキンで拭いた。

運ばれて来たおかずは、肉野菜炒め、生姜とオカカがたっぷりの冷や奴、油揚げとネギのお味噌汁、ワカメサラダ。

そしてご飯やお箸などがユウスケさんの手によって、所狭しと並べられていった。

最後にリツコが台所から、冷たい麦茶を持ってやって来た。
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