プラチナブルーの夏
19.
『こんなん…嘘やんなぁ?ユウスケ。ミズキに、誘惑されたんよな。

魔がさした、だけやんなぁ?』

 
わかっていたことだ。
 
あたしにとってのリツコと同じ。

リツコにとってのユウスケさんは彼女の心の支えだったんだ。
 
誰よりも…あたしよりも何よりも大切な。

 

どうして夏はいつもあたしの大切なものを連れ去って行ってしまうんだろう。
 

甘ずっぱいような、いとしい、いとしいリツコの匂い。

大好きなチェシャ・スマイル。
 
 
あたし達はその日以来、一度も口を聞かないまま、中学を卒業した。
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