アドラーキャット
リビドー
和歌サークルの歓迎会も終わり、私は荻野目くんと一緒に帰っていた。
祐介くんは別のサークルにも知り合いがいるからそちらの方へ挨拶に行くと言っていた。
もうすっかり春になり夕方もほんのり暖かい。
「荻野目くんサークル何入るつもり?」
「……わか。」
「え、和歌って、私が入ってるサークル?え、入ってくれるの?」
無理矢理歓迎会に連れて行ってこんなこと言うのもおかしいけど、もっと色々なサークル見た方がいいんじゃないだろうか。
「もっと色々なサークル見てみたら?面白そうなのたくさんあるよ。」
「……和歌でいい。」
ボンヤリとそんなことを言う荻野目くん。
猫背は高校時代と比べるとかなりよくなったようだが、相変わらず前髪は長い。
「気に入ってくれたんだ。ありがとう。」
「別に。」
ニヤニヤ笑いながらお礼を言っても荻野目くんはもう怒ることもしない。
もう私のこのおちょくりにも慣れたのかな。