アドラーキャット

微妙な長さの話





秋のからっとした天気。

ある高校の体育館ではボールが弾む音がこだましていた。

「はーい、じゃ休憩!!」

髪をショートカットにした背の高いキャプテンの言葉に、女子バレー部員がわらわらと飲み物の周りに集まる。


それを反対側のコートから見ている少年、荻野目駿、16歳。
の、隣にいる少しキリッと怖そうな顔の少年、同じく16歳の祐介。


女子バレー部の休憩風景には、汗を拭う瑞希の姿。
白いTシャツがまだ夏の名残のように眩しい。



そこで、唐突に祐介が呟いた。


「へー荻野目ってあーゆー瑞希先輩が好きなんだ。」


パァンッ!!



「ってぇ‼無言で叩くなよ!!」

「祐介がうるさかったから。」





でも否定はしないんだよな、と一人考える祐介だった。
< 72 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop