そしてキスからはじまった
何?と思って窓から外を見た。

赤い車…あの人の?一緒にいたんだ…

車のドアを開けて紫音が外に出ようとした。

何か呼ばれたのかまた車に乗った。

キスでもしてるのかな?そんな事を考えて涙が零れた。

「ありがとう…また明日」にこやかに車に手を振って紫音はしばらく車を見送ってた。

見ていたのを知られたくない…急いで窓から離れた。

シンクの汚れた食器を洗っていると紫音が帰ってきた。

「ただいま」
「お、お帰りなさい」
紫音は後ろから私を抱き締める…お酒の匂いに混じって彼女の香り…

あぁやっぱり彼女と…

体がかたまる。嫌悪感で震えてくる…

離して…抱き締めないで…彼女といたくせに…

腰に回る手をやんわりほどくように台所を離れる。

「紫音…シャワーを浴びて」

私は頭が痛いからもう寝るねと断わって壁の方に体を向けてベッドに横になった。

しばらくして紫音がシャワーを浴びてベッドに入ってきた。

紫音からは彼女の匂いはもうしなかった…

それでいい…私は耐えられる…

少し先の別れまで…そう思った…





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