そしてキスからはじまった
この生活がはじまって夜が寝れなくなった。
昼間は忙しくてすぐ過ぎた。
病院の夜はさみしくて余計な事を考えてしまう。
戸のガラスの明かりを眺めていると無性に孤独と死の恐怖に押し潰されそうになる。
抱きしめてくれた紫音はもういない…一人で赤ちゃんがちゃんと産めるんだろうか?死ぬのも怖い
彼は彼女を抱きしめているんだろう… 私は泣きながら自分を抱きしめながらやっと少し眠る毎日…

そんな私に小さなお友達が出来た。五歳の可愛い女の子でサラという。
白血病の彼女は名前とお願いしますと書いた紙とともに2年前に病院に置き去りになってたそうだ。

彼女は眠れない夜は大好きなクマのぬいぐるみを持って私のベッドに潜り込む…抗がん剤の影響で髪の毛は抜けて身体は痩せ細っている…
それでも可愛いく温かい…
彼女のぬくもりで私は泣かずに眠れるようになっていった。

私の宝物は女の子だろうか?男の子だろうか?できれば健康で生まれて欲しい、私が悪いところは持って行くから

そう思いながら明け方近くに眠る。
そんな時は決まって夢を見る…嫌な夢
やけにリアルな夢だった。

私は寒さが身に沁みる12月半ば…
新しい出会いが訪れた。

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