そしてキスからはじまった
「ジュリア・・この発音は?」

俺はジュリアの気をこちらに向けるために質問する。

そんな俺の気も知らずジュリアは単語を繰り返し発音する

俺も繰り返す・・

「孝・・パーフェクトです。」

眼を真ん丸にして手を叩いてうれしそうにほめてくれる。

可愛い・・なんて可愛いんだ

時折悲しそうに紫音をみつめては合間を縫って紫音に質問する

難しい漢字を・・

紫音に話しかけるために

「紫音・・これなんて読むんですか?」

「薔薇だよ。ローズ」

「薔薇・・ローズ」とつぶやきながら大きく書いていく

細かいところが分からなくて紫音が横から教えている・・

あいつのあんな眼を見たことない・・

愛おしそうに・・

きっと彼女の柔らかい髪に触れたいんだろう

でも出来ない・・

俺がいるからか?

邪魔者だって分かっている

二人は愛し合わないほうがいいんだ

借金を抱えたハーフのダンサーと金も持たない高校生なんて

きっと傷つけ合って別れるだけだ

俺は邪魔者になってやる



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