クールな王子は蜜の味

智也side

リビングのソファーに、

夏果を座らせ、ティッシュを一枚渡した。

そして、対角にあるソファーに座ったオレは、

机に片肘を付け、夏果を見つめる。

そして・・・


「・・・で?

そのウソの涙の意味は?」


思いがけないオレの言葉に、

夏果は動きを止めた。


まさか、自分の涙が

演技だと思っていなかったと、

オレには嘘の涙が通用したんだと、

思い込んでいたに違いない。


「…ウソの涙なんかじゃないわよ。

現に私は寧々ちゃんに叩かれた」


「・・ああ。

そこはバッチリ目撃したよ。

でもな?その前に、もう一発、

頬を叩く音が聞こえたんだ」


「・・・?!」


オレの言葉に、

かすかに夏果の手が震えてるのが分かった。


「オレの演技も最高だっただろう?」

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