アカイ花†Vermilion Flower
「やる気があるなら、うちで働きなさい
っておじいちゃんが
若い人材は、我が社の宝なりってね
その代わり、言っておくけど
ママみたいに高待遇じゃないからね
若い奴はしっかり汗水たらして
労働しなさい
それが、おじいちゃんの会社の社訓
だから、アンタも頑張んなさい」
子供みたいに棒つきキャンディーを舐めながら、母は言った。
一人でこの世を渡って行かなくてはいけない私には、この話を断る理由なんてなかった。
私は、祖父か手広く企業を展開している幾つかの中の一つ、ホテルのスタッフとして雇われた。
私が孫である事実は上役の人以外は誰も知らない、秘密。
そう、私はまた秘密を持って生活をしている。
一年目は、午前中は専門学校へ通い、ホテルの仕事について接遇マナーやサービス実務等を習い、午後はホテルの掃除等の初歩的な仕事をしながら学生と社会人の生活を送っていた。