嫌い嫌い! 大ッ嫌い! 変わらぬ思い
 詳しく話すと長くなるし面倒臭い。

 だから俺は、大学を卒業してからの経緯を志田さんに話し聞かせる事にした。

 学生時代は自由を満喫してノンビリと過ごしていた俺だけど、卒業してからは周りの状況が一変して慌しい日々を送るようになった。

 親父が病気で他界するわ、親戚の人が不幸な目に遭うわ、従兄弟の借金問題でウチの家庭にまでとばっちりを食うわで散々だったのだ。

 その上、俺の方は就職氷河期でなかなか仕事が見つからず、気持ち的にもブルーになってしまっていた。

 自分の事で精一杯で慌しい日々だったから、ゆっくりと遊ぶ元気も無かったのがあの頃の俺だったのだ。

 こんな俺だから、彼女に思いを寄せる余裕なんて無かったのも同然である。

 必然的に会う機会も減り、段々と互いの距離も離れて行ったのだ。


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