皇帝のサイコロ
昭に話してから6日後の夜のことだった。

とうとう俺はこの状況に耐えきれなくなった。

上着を着て家族に聞かれないよう外に出た。

目的地は無いがとにかく早足で歩く。

足を止めないまま昭に電話をかける。

早く、早くでてくれ。

『慎?どうし――』

「昭!言ってないよな?あのこと」

昭に最後まで言わせず、問いかけた。

『ああ、言ってないけど』

「本当か?」

『本当だよ』

昭の言葉さえも信じられない。
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