皇帝のサイコロ
今日、必ず家族に言わなければ。

今日言わなければ、きっと明日も言わない。


「はあ、言えねぇ」

昼ごはんを食べ終わり、部屋で盛大にため息をつく。

まるでバイト応募の電話をかける前のようだ。

電話番号は入力したのに、通話ボタンを押す勇気が出ない。

そうしてケータイを片手に3時間も4時間もあっという間に過ぎてゆく。

その感覚に似て、朝起きてからずっと俺の心臓は高鳴っている。

昼ごはんを食べているときに言うチャンスはあったのに、言えずにいる。

「あのさ、俺、言うことがたくさんあって」

防音のため、布団を被って呟いてみる。練習だ、練習。
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