初カレ

今朝のことがあったからか、他のクラスの女の子がちょこちょこあたしを見に教室に来るようになった。



｢ある意味有名人だね、夏帆ちゃん｣



と柚夏が言った。



｢有名人だなんて…｣

｢でもさ！あの春海先輩だからね！そりゃあどんな女の子と歩いてたのか気になるでしょ！｣

｢…あたしは別に｣

｢汐里はそういうの興味なさそうだからそう思うのかもしれないけど、でもやっぱり野次馬根性ってゆーか…｣

｢野次馬は瑠海ちゃんだけのような…。でも、確かに春海先輩と登校してきた子ってどんな子かなって思うかも｣

｢登校も何も…校門までは瑠海とずっと一緒だったのに…｣



なんだか気分が重い。
別に約束したわけでもないのに。
たまたま、偶然会ってちょっと話しながら校門から昇降口までの短い距離を歩いただけなのに。



｢あたし、悪いことなんてしてないのにな…｣



とボソッと呟いた。



｢そりゃそーだ｣



と汐里が言った。