初カレ
笑ってた先輩の顔が急に真面目になる。



「ゴメン。俺のせい」

「そんな…」

「はっきり言わなかったからだよね」

「え…?」



先輩があたしの目を見る。
恥ずかしくてそらしたいのに、なぜかそれができない。
あたしと先輩の間に優しく海風が吹いた。



「俺、夏帆ちゃんが好きだ」



(先輩が…あたしを?)



「友達からっていったけど、やっぱ無理。俺と付き合ってほしい」



あたしは、どうなんだろう?
先輩があたしなんてって思っていたけど…。
まだ話すようになって、ちょっとしか経っていないけど、いっぱい先輩のことが思い浮かぶ。
先輩のことを想うと胸がキュンとなる。
いつだか、汐里に言われたことを思い出す。



(あたし…先輩が好き)



「はい…っ。あたしも先輩のことが好きです」



そう言って先輩を見上げると、先輩の顔が少しだけ赤くなっていた。
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