今日も、明日も、明後日も
白いビニール袋を取り出し開けてみれば、そこに入っていたのは苺……らしかったもの。
らしかったもの、というのもそれは買ってから大分経ってしまっているらしく、袋の中でぐちゃぐちゃに腐ってしまっている。
うわ、腐っている……でも私、苺なんて買ったっけ?
記憶の中を探れば、出てくる光景は
『鈴ちゃん』
彼のいる、景色。
『やっほー!苺買ってきたよ!』
『苺って……何ですか、この高そうな店の袋』
あの日の前日、交わした会話。
白に金色の模様が描かれた、いかにも高級店らしい紙袋を手にやってきた彼はにこにこと明るい笑顔だった。
『どの苺がいいかわからないから、銀座のデパ地下で一番高いの買ってきた』
『……勿体無いから一日一粒まで』
『ダメになっちゃうよー?そんなことしなくてもまたいくらでも買ってきてあげるのに』
『その金持ち思考をどうにかしてください』
『まぁまぁ』と真っ赤な一粒を手に取って、私の口へと押し込んだ。
口の中に広がった甘い味と、伊織さんの穏やかな笑みが、まだ記憶のなかから消えない。