好きって、言いたかった。
「ご、ごめんね。大丈夫、ありがとう」



とりあえず癖で謝ってしまう私。




「いいよ、大丈夫。


それより美晴さんに何もなくて安心したよ」






ほら、まただ。



またその笑顔で許してくれる。




こんな私を許してくれる。








「コロッケ、持てる?」


「うん、ありがと…」



彼は何事もなかったかのように

私にコロッケを渡してくれる。






ふと触れた指先。




多分、声には出さなかったけど、

お互い一瞬意識しただろう。







私は冷たい指先で、

温かいコロッケを手に取った。
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