好きって、言いたかった。
「え、と…」


未だに答えを出さずにいる私。

この状態、彼には悪いと思っている。

思っているけど…。


やっぱり私は中身が弱い。

「はい」とも「いいえ」とも言えない。


それでも彼は私の返事を待っていてくれてる。

こんな優柔不断で呆れるやつを待っていてくれている。

この人なら、いけるのかも…。


「ぁ…」

「あぁ、もう。じれったいな」


私が口を開いた瞬間、彼がそんなことを言う。


え、どういうこと?

もしかして呆れて私を嫌いになっちゃったの?


数々の不安が押し寄せてくる。


どうしよう。

折角好きって言ってくれたのに…。

幻滅させちゃあ私…!



「…それが美晴さんだってことぐらい分かってるけどさ」


ボソッと言った彼。

私には強くなってきた風のせいで上手くは聞き取れなかった。


え、何て言ったの?


聞きたいけど、聞けない。




だって彼の顔も真っ赤に染まっていたんだから。
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