イケメンSPに守られることになったんですが。


「大丈夫です。そんなに、心配しないでください」


「…………」


「あなたを怖がらせようと思ったわけじゃないんです。
ただ、事実は知っておいてほしいので……」


「…………」


「そんなに震えなくても、大丈夫ですよ。
俺たちが必ず、あなたを守りますから」



ああ、そうか……。


私、震えてるんだ……。


急に部屋の温度が下がった気がした。


きっとノーメイクでぼんやりした顔は、もっとひどくなってるんだろう。


そんなことを思いながら、私はされるがまま、高浜さんの体温の中でじっとしていた。



「嫌じゃないですか?」


「……はい」


「良かった。お子さんの警護対象者は、いつもこうすると、落ち着いてくれるんです」


「子供って……」


「はは、すみません。
中園さんは大人でしたね」



……こんな状況じゃなかったら、逆にドキドキしちゃって、絶対落ち着けないと思うけど。


高浜さんの体温と低い声は、私の不安を少しずつ、溶かしていった。


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