地方見聞録~人魚伝説譚~







 長い黒髪が些か邪魔そうだったので、髪を結う紐を渡すと、ヨウは慣れた手つきで髪を束ねる。


 人魚は着物を纏わないと聞くがと質問すると、「私は陸でもある程度生活できるかな」と返ってくる。
 陸で生活したことがない訳ではないらしいが、どこか浮世めいた雰囲気を持っていた。




 なにより、その美貌。
 目立ちまくりである。




 私についてくるヨウが小声で「見られている気が」と言ってきたことには、私はどうすることも出来ず、我慢してと言うしかない。





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