わたくし、政略結婚いたします!?

「…………」



目を開けると、いつも通りの朝だった。



私はゆっくり身体を起こしてベッドから立ち上がる。



……懐かしい、夢を見た。



まだ幼かったころの、幸せな夢。



恋とは呼べないくらい幼くて拙い想いと、結婚の約束。



あの頃の自分は今の自分よりずっと素直だった。


単なる子供の軽い口約束なんて、こんなに覚えているのが可笑しいと思うけれど。



私は時々こうして思いだすんだ。



幼い将来の約束を。



相手が誰だったのかも分からないのに。



あの頃は沢山同年代の友達がいたから。


誰と親しかったかなんて覚えていない。



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