Sion




優愛はふぅーっと息を吐く。
心を落ち着かせ、ドアノブに手をかけた。




「…那由汰、お疲れ様」




優愛に気づいた那由汰は振り返る。
優愛を見ると、薄い笑みを見せた。




「優愛、少し遅かった…いつも時間ぴったりなのに」




「学校出るのが遅くなっちゃったの。っていうか、良く見てるね」




「…それが優愛のいいところじゃん」




那由汰の何気ない言葉が嬉しい。
出会ってからだいぶ経った。





あの頃より打ち解けている。
それは那由汰の口調からよく分かった。




長い時間一緒にいるせいで気づいてしまった。
那由汰が考えているのは別のことだと。
優愛に関することではないと。




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