Sion




希愛はあたふたしながら、手話で律花に話しかける。





『り、律花、怒らないで』




だけど、それでも律花の怒りは収まらなかった。
寧ろ、悪化したように感じられる。




「希愛の迷惑にならなきゃいいけど、あれじゃあ目に見えるほど迷惑っ!あの男も悪いっ!
邪魔なら邪魔って言えばいいのに、何もしてない!ちやほやされて喜んでいるん
じゃないの!?」




こうなった律花は止められなかった。
あまりの期限の悪さに、湖季は言葉を失っていた。
こそっと希愛に耳打ちをする。




「ねぇ…巴さんって怒るとこうなの?」




希愛はこくりと頷いた。
普段はあまり怒らない。
怒った姿を見るのは希愛も久しぶりだ。




だが、怒った時、誰にも止められない。
それは希愛でも無理だった。
暴走列車のようなのだ。





< 21 / 303 >

この作品をシェア

pagetop