Sion




今でも理緒はこの会話を思い出すことがある。




「爽は…寂しかったんだと思う。でも、あなたの存在が…その気持ちを薄くしていったの。
爽は…だから希愛ちゃんを守ったのよ。爽の気持ちを知って…あなたを責めようとはもう思えないわ」




少しだけ爽の思いに触れられた気がした。
爽が希愛を守った理由。それが分かったような気がした。




爽は…だから希愛を守ったんだ。




理緒は希愛に優しく微笑む。




「生きてあげて、爽の分まで。幸せでいることが…爽の幸せに繋がるんだから」




「……はい」




最後まで理緒には敵わない。
爽と理緒が付き合ったときはすごく悲しかった。




辛くて、理緒のことが嫌いになりそうで…
でも、嫌いになれなかった。




優しく微笑んでくれて、心配してくれて。
爽とは違うけど、姉妹のように接してくれたから…。



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