Sion

兄妹





スタジオに入ると、ひとりの男の人が出迎えてくれた。
弓音の姿を見ると、嬉しそうに口元を緩ませる。




「ゆの、久しぶり」




弓音も口元を緩ませ、微笑む。




「ゆづ、電話で話したばっかでしょ?」




「会うのは久しぶりだろ?元気そうで良かったよ」




「ゆづもね」




微笑み合う二人を希愛は交互に見た。
兄弟と言っていたが、あまり似ていない気がする。




弓弦も弓音も整った顔立ちをしているが、そっくりというわけではない。
何となく似ているところもなく、兄妹と言われても分からない。




「ゆの、しばらくこっちにいるんだろう?」




「うん。なゆの家に泊まらせてもらうし」



弓音がそう言うと、弓弦は驚いたように那由汰を見る。




「意外だな。そんなことをするようなタイプじゃないのに」




「…ゆのだからだよ」




と、那由汰はどこか素っ気なく言った。




< 271 / 303 >

この作品をシェア

pagetop