Sion




あれ以来、理緒とは会っていない。
もう…6年も経つ。




『理緒さんは…死んでも私を許してはくれないでしょう…』




許して欲しいとは思っていない。
ただ…少しでも昔のように戻れたら…。




この願いが叶うのはいつだろう。
もしかしたら、一生叶うことはないかもしれない。




希愛は爽に何も伝えられなかった。
『おめでとう』の言葉も、『大好きで大切だった』という言葉も。




今でも胸に残っている。
希愛を庇って事故に遭った時、爽はうっすらと笑みを浮かべていったのだ。




『希愛を守れてよかった…』と、。
爽は自分のこれからよりも希愛の未来を選んだのだ。




それでも希愛の未来は暗く陰っていた。
道しるべのようだったのかもしれない、爽の存在は。





< 62 / 303 >

この作品をシェア

pagetop