野良猫の飼い馴らし方。
「え…あ、あの…やっ…」
「バタバタしてる~。」
腕から逃げ出そうと暴れたものの、相手は高校男児。
しかも年上で、あたしがその腕から逃げられるわけもなかった。
暴れれば暴れるほど、強く抱き締められる。
「~~~っ!!!」
「こら杏ちゃん。泣いてるからやめなさーい。」
視界が霞んできたころ、ようやく春野先輩が、桐谷先輩を引き剥がしてくれた。
「…震えてる。」
少し離れたフェンス際の島田先輩が言う通り、あたしの体は微かに震えていた。