メインクーンはじゃがいもですか?
「もう! 霧吹さん、なんてことしてくれたんですか! あんな、へへへへ変なこと言って! みんなびっくりして固まってたじゃないですか!」
「今俺に近づくな」
冷たくあしらわれ、葵はびくりとする。
「この中に例の奴がいる」
「うそ」口元を覆う葵。
「話しかけるんじゃねーぞ。俺はその辺からどいつか探る。お前は勝手にそこらへんにでも座ってろ」
そう言うと霧吹と次郎は葵をその場に残し、何食わぬ顔をして、こっそりと隅っこの方に隠れた。
一人にされた葵はどうしていいか分からず、自動販売機前のベンチに腰を下ろした。
この中に例の犯人がいるんだと思うと、勝手に心臓がドキドキしだした。
誰なんだろう。
ポーカーフェイスをし続けるも、心の動揺はどこかに出ていた。
せわしなく髪の毛を触ったり、足をむやみやたらに組み替えてみたり、目がきょろきょろと泳ぎまくっていた。
「おい、あいつはバカか? あんなに動揺してたらみごとにあやしい奴じゃねぇか」
霧吹は廊下の死角になる部分から葵とまだ見ぬ犯人に神経を集中させていた。
次郎もまわりを見渡し、そういった怪しい輩がどこにいるのかに、全神経を集中させていた。