君といる夏
「俺はあの夏を忘れてないよ」

6年前の夏、弾みで体の関係を持った。その日から2週間。夏樹が友人と出掛けた表参道でスカウトされて3日後に上京するまで、毎日毎日、飽くことなく抱き合った。

「今彼のことは本気なの? 俺の時みたいに遊び?」

あの夏を思い出させる夏樹の熱い視線。私が知っている、夏樹。今彼とは同棲の話も出ていると伝えたいのに、唇は動かない。じっと、見つめ返すだけ。

夏なのにひんやりした掌が、私の頬にそっと触れる。心地良さに眼を閉じると、それが合図のように抱き寄せられた。
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