あたたかい雪
北国で見る雪景色には及ばないところもあるし、一面銀世界と言うのも憚られるが、それでも地元ということで特別な感慨があった。


そうやって雪景色を堪能しながら、しかし美穂は右手に持ったままの携帯電話をちらちらと気にしていた。


メールの返信はまだ無い。


メールを送った相手――長年交際を続けている、恋人の荒木昌彦。


できることなら、彼と並んでこの雪景色を見てみたいと思った。


しかし彼とは遠距離と言うほどではないにしても、少しばかり住んでいる場所が離れている。
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