あたたかい雪
そして本来なら食器の行き来に使われていたであろうそこに、機能よりは造型に凝った造りのコーヒーメーカーと豆の入ったポット、それに可愛らしい小瓶に刺さった色鮮やかな造花を置いたのだった。


この部屋に住み始めて一年以上たった現在でもそこは変わることなく、美穂のお気に入りの場所になっている。


コーヒーメーカーに手際よく豆とミネラルウォーターをセットし、スイッチを入れて数分、部屋中に芳しい香りが漂いだした。


充分に間を置き、フィルターから珈琲の滴が落ちなくなったところでお気に入りのマグカップに注ぐ。


美穂はそれを両手で包むと、窓際へと戻って行った。
< 8 / 22 >

この作品をシェア

pagetop