たった一つのお願い
『結婚は?』
「は?」
一瞬思考が止まった。
『結婚はいつするのかって聞いてるの』
結、婚……
「ハハッ……」
考えた事なかった。
そして今分かった。
春陽と彼女のお父さんを見て親子だな…と感じた時。
俺は彼女の父が、彼女と家族である事に羨ましいと思ったんだ。
つまるところ、俺は彼女と家族になりたかったんだ。
アンタが笑うなんて…と心外な声が受話器から聞こえたが、俺はそれすらも今はどうでも良い。