たった一つのお願い
「しかも俺に向かって第一声が“お前の顔、金魚みたい”だぜ?」
口がパクパクしてたからな。顔赤かったし。そう見えた。
「いやーお前って焦ることを知らないんだなって思ったよ。だって浮気現場目撃されたんだぜ?」
「目撃者はお前しか居ないし、どうとでも取り繕える。それにあの時の彼女と別れられるなら好都合だった」
俺は枝豆を掴み、食べる。やはりビールには枝豆か焼き鳥だな。…イカも悪くないが気分による。
「ぐはーつくづく最低な男だねー」
そんなものは自覚済みだ。今更言われても痛む良心等も俺には存在しない。
「俺の事よりお前はどうなんだ?」
こう言ってるが、コイツもかなりのいい加減な奴だ。
「俺も溜まった時は適度に発散してるよ」
まぁ、蓋を開ければ男なんて皆こんなものだろう。別段何も思わない。俺と同様コイツ、彼女居ないしな。