たった一つのお願い





彼女がこの世界から消えて1ヶ月が過ぎた。



葬式を終え、彼女のお墓もたてたが、俺にとってどこそれは色あせて見えた。




仕事は相変わらずの忙しさで、俺の事情は一切関係なく世界は廻る。


毎日が訪れる。日々の時間はいつもの規則通りに過ぎていく。


ただ、ひたすら時を刻みながら廻るのだ。




俺もどうやら薄情な人間のようで、あの日以来、全く涙は流れてこなかった。
仕事に支障もない。


勿論彼女のお葬式でも涙は出なかった。



あれほど、彼女に執着し、溺愛していたというのに…




やはり変われた、と思ったのは一時の気の迷いだったのかもしれない。






――――…今はそんな事を思い、日々を過ごしている。






「三神先生、休まれた方が良いんじゃないですか?」






――――この台詞は嫌というほど周りから言われた。






「俺は大丈夫だ。熱もなければ気分が優れないわけでもない。至って普通だ」







皆、俺が気遣ってくれているのだろうが、大きなお世話だと言う奴だ。

それに休んだ分、もっと仕事しなければ皆に申し訳ない。連日徹夜と続いているが、特に俺に何の異常も見当たらない。



周りは何故、俺に休めとばかり言うのだろうか?
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