たった一つのお願い


「俺は4階の循環器系内科に勤めている」



「へー…先生も外科医さん?」



「あぁ、そうだ」




俺はベッドの傍にある椅子に腰掛け、座る。




「ねぇ、先生ってさ。折り紙出来る?」



「折り紙?」




突然何を…と思ったが彼女のベッドの机の上を見ると折り紙が何枚も広がっていた。その内のいくつかはしわくちゃで、きっと失敗して何度も折りなおしたのだろう。




「実は鶴を作りたくて。千羽鶴」




あぁ。早くよく治りますようにってことか。




「だがそういうのは自分じゃなくて人に作ってもらうんじゃないか?」




しまった。
マズい事を聞いてしまったかもしれない。


だが、そんな俺とは反対に彼女は突然笑い出した。
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