たった一つのお願い


「それに貴方の写真を見て尚更そう思った」




年齢。
容貌。
職業。



どれも娘とは正反対だったと言う。




「だけど、貴方に次会えば私はこうして負けてしまうと…認めざるを得ないと分かっていた」




それでずっと俺を避けていたのか。


確かに昔の俺なら有り得ない選択だった。



家の出迎えの理想なんて“いつか”ではなく、今や“もしも”になるのだ。


俺の掲げた理想は全くの逆。


不安になるのも、俺を拒むのも分かる。



だけど俺は、悪い事ばかりだとは思っていない。




「…俺は、春陽さんが病を抱えてくれて感謝している事もあるんです」



「……は?…何を……」
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